東京の立川に住んでいたころ、通勤途中に
すかいらーくがあった。
すかいらーく第1号の国立店だ。
独り身だったので、ほとんど夕食はここですましていた。
ハンバーグ好きだったもん。
しばらくして自分の住む富士見町団地に店舗ができたので、そちらで夕食をとるようになった。
自分の部屋がある棟のすぐ横にできたのだ。
それからはそこが夕食の場となった。
開店からまだ1年もたたないうちのある夜。
いつものように、おいさんは飲んだくれて自宅のソファで爆睡状態。
何か人のざわめく音で目が覚めた。
「なんだんべ?」 外で赤い光が回転している。
ベランダに出てみると、パトカーの回転灯の光だ。
「誰か捕まったのか?」
それにしては、いつものベランダからの見慣れた光景とはちょっとちがう。
ボーッとした頭で考えてみたら、あるべきものがない!
そう、
すかいらーく富士見町店がないのだ。
火事で焼け落ちてしまい、見る影もない。
「ひえーっ」丸焼けじゃん。
おいさんが爆睡中に出火し、丸焼け、鎮火というプロセスをふんだわけ。酒の力はおそろしい。火事場の騒ぎでも目覚めさせない。
すかいらーくで爆睡してなくて、よかった。
このあと、おいさんは東京を離れてしまったから、富士見町店が再開されたかどうかは、わからない。
最後のすかいらーくが閉店するニュースを流していた。
「へー、そんなことになってたのか」 知らなかった。
ちょっとさみしいかな。
それは、慣れ親しんだものがなくなることのさみしさか、それとも時代がどんどん
過ぎ去っていくことのさみしさだろうか。
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