(その1からのつづき)
「大派さん、どうしたの? きつそうじゃん」
平賀が声をかけてきた。
同じ工場へ派遣されている同僚のなかで、一番気の置けないやつだ。
「いやぁ、金曜の夜に飲み行ってちょっとスッ転んじゃってなぁ」
「どうなの?」
「ちょっと胸が痛ぇんだよ」
「病院行ったほうがいいよ」
「うーん」
「保険証あるんだろう?」
「いや、それが・・・保険料滞納しててさ、もらってねんだよ」
「そりゃ、ヤバイなぁ。保険証ないと実費だよ」
「どのくらいかかるかなぁ」
「万札はいるだろうなぁ2,3枚」
「そんなに!」
「持ってる?」
「ああ、少しある」
このところパチンコの調子がよくて20万ほどプールがあったが、それはないしょだ。
やっぱり病院へ行くしかないか。
「上野さんに断っといたほうがいいよ」
「そうだな、そうする!」
昼休みのチャイムがなった。
遣太は休みの届けをするために事務所へ向かっていった
「上野さん、明日病院へいきたいんでお休みしたいんですが」
「どうした大派さん、めずらしいじゃないか」
「いやぁ、金曜の晩に飲み行ってて転んじゃったんです」
遣太は平賀と同じ話をした。
「それは骨が折れてるかも知れないなぁ、前にもそれに似たようなことがあったけど、」
「えっ、骨折ですか」
(つづく)
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