赤坂見附を走行中いきなり腹痛に襲われた。
1泊2日の人間ドックの帰り道のことだ。
前日に飲んだバリウムが出ないので下剤をもらっていたのだが、こんなところで効果を発揮しやがった。
「あちゃー、どうしよう」
道路は渋滞してるし、お腹はテンパってくるし、もう最悪!
そのときおいさんの目に特徴のあるビルが。
あれは赤プリ(当時は赤坂プリンスホテル)じゃないか。
車を駐車場に入れ、一目散に中へ。
あれ?厠がねえぞ?
一刻を争うのだ。
平静を装い、フロントの女の子に場所を聞く。
「あちらでございます」彼女の指差す方向にその目的地はあった。
う〇こがもう半分顔を出しそうだ。
走りたい気持ちをおさえてゆっくりと歩く。
ここは赤プリのロビーなんだから。
「間に合った!」
午後2時のホテルはとても静かだ。
静寂の中う〇こを流す音だけが響く。
スッキリして手を洗いながら鏡をみると、不思議な違和感をおぼえた。
「なにか違う」「なんだろう」
鏡に映ったトイレの中は個室ばかり。
「ひょっとして・・・」
はやる気持ちをおさえながらそこから出て振り向くと、WOMENの文字が。
「やべぇ」あせっていたとはいえ、女子トイレを借用してしまったのだ。
危うく大騒ぎになるところだった。
ほかに誰も入ってこなかったからよかったのだ
それ以来、赤プリはトラウマとなり近寄ることもはばかるようになった。
赤坂プリンスさん、女子トイレを無断借用したのはこの私です。
ごめんなさい。
その赤プリも老朽化で取り壊されるとニュースで言っていた。
おいさんの思い出の場所がまた一つ消えていく。
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