(その5からのつづき)
あいかわらず、朝と夜が逆転した生活が続いていた。
一晩中CDを聞きながらテレビゲームに明け暮れる。
明け方に寝て夕方目が覚める。
ハラが減るとスーパーへ買出しに行く。
酒のつまみと夕食、それに明朝食べる分の弁当まで買いこんで帰る。
あちこち回るのはイヤだから一箇所で用を済ます。
ろくに部屋の掃除もせず怠惰な毎日を送っていた。
昼前に携帯が鳴った。
「石井ですけど」電話の声は石井だった。
「おう、めずらしいなぁ。」
「いやぁヒマで行くとこねぇし、大派さんとこに遊びに行こうと思ってね。」
石井の電話で今日が日曜日ということに気がついた。
「いやぁそれがさぁ、先々週にころんじゃって肋骨折っちゃったんだよ。」
「肋骨ぅ?入院したの?」
石井は前の派遣先の社員だから遣太の骨折を知らないのだ。
「いや、サポーター巻いてるだけ、だからウチでおとなしくしてんだ。」
「じゃぁずっと休んでるの?」
「うん」
「いいなー、でもあんまり休むとクビにならない?」
いやなことをいう奴だなぁ。
「そりゃ・・・ねえだろう。まっウチの社長じゃわかんねぇけどなぁ!」
「よくなったら電話スッからまた出て来いよ。」
遣太はそういってケータイを切ったが、内心引っかかるものがあった。
「細川のじいちゃんもケガか何かでクビになったっけ。」
(つづく)
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