見ているとじわじわと赤坂プリンスホテルが縮んでいく。
大成建設による新解体工法「テコレップシステム」という代物だ。
ビルの屋根部分を残したまま、上から1フロア分解するごとに昇降装置がシステム全体を自動降下する。
いままでの工法における部材の飛散・落下、粉塵の飛散、騒音・振動を抑えられるそうだ。
まさに狭い日本ならではの工法といえよう。
いつか泊まってみたいと思っていたホテルのだった。
それも叶わぬまま月日は流れ、ついにホテルがなくなるという事態になってしまった。
さよなら赤プリ。
おいさんの忘れられない思い出をここに再掲してお別れします。
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赤坂見附を走行中いきなり腹痛に襲われた。
六本木での1泊2日の人間ドックの帰り道のことだ。
前日に飲んだバリウムが出ないので下剤をもらっていたのだが、こんなところで効果を発揮しやがった。
「あちゃー、どうしよう」
道路は渋滞してるし、お腹はテンパってくるし、もう最悪!
そのときおいさんの目に特徴のあるビルが。
あれは赤プリ(当時は赤坂プリンスホテル)じゃないか。
車を駐車場に入れ、一目散に中へ。
たしか。入り口付近にトイレはあるのだが・・・・
あれ?厠がねえぞ?
一刻を争うのだ。
平静を装い、フロントの女の子に尋ねる。
「あちらでございます」彼女の指差す方向にその目的地はあった。
う〇こがもう半分顔を出しそうだ。
走りたい気持ちをおさえてゆっくりと歩く。
ここは赤プリのロビーなんだから。
うーん「間に合った!」
午後2時のホテルはとても静かだ。
静寂の中う〇こを流す音だけが響く。
スッキリして手を洗いながら鏡をみると、不思議な違和感をおぼえた。
「なにか違うなぁ」
「なんだろう」
鏡に映ったトイレの中は個室ばかり。
「ひょっとして・・・」
はやる気持ちをおさえながらそこから出て振り向くと、WOMENの文字が。
「やべぇ」あせっていたとはいえ、女子トイレを借用してしまったのだ。
危うく大騒ぎになるところだった。
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赤プリの解体工事の様子をテレビで見ていたけど、すごい工法だね、大成さん。
おいさんの思い出の場所がまた一つ消えていった。